シャンパーニュ|シャンパーニュ地方産のスパークリング・ワインのみに許される名称

シャンパン

フランスのシャンパーニュ地方産のスパークリング・ワインのみが「シャンパーニュ」という名称の使用を許されている。

シャンパーニュの歴史

17世紀まで、この地方のワインは普通の非発泡性ワインであったが、17世紀後半に、盲目の修道僧、ドン・ペリニヨンの功績が、現在のような発泡性ワインが生まれるきっかけになった。

シャンパーニュ地方は北緯49度にあるが、丘陵地の斜面にぶどうを植えることにより、ぶどう栽培が可能となっている。また、キンメリジャンと呼ばれる独特の石灰質の混在した泥土質の土壌により、適度な湿度と温度の調整がなされていることも特徴の一つである。この地方はぶどう栽培の北限にあたるため、毎年ぶどうの出来が異なる。そのため、複数の年、村、ぶどう品種をブレンドするのが一般的で、最低15カ月熟成した「ノン・ヴィンテージ(NV)」が主流である。しかし、ぶどうの出来が良い年は最低36か月間瓶熟成した「ヴィンテージ」や、「プレスティージュ」も造っている。現在、シャンパーニュ地方3万ha以上のぶどう畑があり、その75パーセントは北部のマヌル県に集中している。ランスの南に広がるモンターニュ・ド・ランスでは、主にピノ・ノワール種が栽培され、マヌル川沿いのヴァレ・ド・ラ・マヌルでは、主にピノ・ムニエ種が、エペルネ南方の東向き斜面コート・デ・ブランには、シャルドネ種が植えられている。これらの畑の90パーセントは2万件ほどの小規模な栽培家によって所有され、大手(ぶどうを購入するネゴシアン・マニピュラン=NM)の自社畑は10パーセントほどに過ぎない。また、白ぶどうのみを使った「ブラン・ド・ブラン」、黒ぶどうのみを使った無色の「ブラン・ド・ノワール」、ピンク色の「ロゼ」も近年人気が高まっている。

シャンパンのラベルについて

近年、栽培家が独自のラベルでシャンパンを出荷する動きがあり、日本でも輸入銘柄数が急増している。ラベルは以下のとおりである。

NM Negociant Manipulantネゴシアン マニピュラン ブドウの一部または全量を購入してシャンパンを製造する会社。
RM Recoltant Manipulantレコルタン マニピュラン 自社のブドウだけでシャンパンを製造。
CM Cooperative Manipulationコーペラティヴ マニピュラシオン シャンパーニュ生産者の協同組合。
RC Recoltant Cooperativeレコルタント コーペラティヴ ブドウ栽培者の協同組合。
SR Societe de Recoltantソシエテ ド レコルタン 同族のブドウ栽培者によって構成される会社。

格付け

この地方では、公定価格制でぶどうを取引していた時代の名残として、日照量の差や、土壌の違いなどから、村ごとに80から100パーセントの格付けがされている。100パーセントの格付けの17ヶ所を「グラン・クリュ」、90から99パーセントの40ヶ所を「プルミエ・クリュ」と呼ぶ。かつてはその年の指標価格に村の比率を乗じた額が取引価格とされたが、現在は自由取引のため格付け自体は形骸化している。

醸造方法

シャンパンの醸造方法は「伝統的方法」としてフランスの他の地方や他国でも手本とされている。しかし、ラベルに「シャンパン方式」と表示できるのは、シャンパーニュ地方で造られたものだけである。醸造方法は以下の手順となる

  1. ぶどうを収穫後、一次発酵させる。
  2. 一次発酵のあと、各社オリジナルのブレンドする。
  3. ワインに糖分と酵母を加えて瓶内で二次発酵させる。
  4. 瓶内で15カ月から数年間ゆっくりと熟成させる。
  5. 熟成の段階で生まれた気泡を瓶内に保ちながらオリ(酵母の死骸)との接触を経て、remuage(ルミュアージュ:動瓶)する。
  6. オリを瓶口に集め、degorrgement(デゴルジュマン:オリ抜き)する。
  7. 目減りした分をリキュール・デクスペディションで補充して、コルクで栓をする。

また、リキュール・デクスペディションのdosage(ドザージュ:糖分調整)によって甘味辛みが異なり、以下のように分けられている。

タイプ 甘味 残糖分
doux(ドゥー) 極甘 50g/L以上
demi-sec(ドミ・セック) 甘口 33g~50g/L
sec(セック) やや甘口 17g~35g/L
extra sec(エクストラ・セック) 辛口 12g~20g/L
brut ブリュット 極辛口 6g~15g/L
ultra-brut(ウルトラ・ブリュット) 糖分を加えないタイプ
extra-brut(エクストラ・ブリュット)
brut-rose(ブリュット・ロゼ)