サロン|「ブラン・ド・ブラン」というスタイルが市場に認知されたといってもよい記念碑的な存在

サロン|Salon

ル・メニル・シュル・オジェ村にある名門生産者で、20世紀初めに毛皮商ウジェーヌ・エメ・サロンが仲間たちと愉しむために造ったのがはじまりです。ワイン造りが本業でなかったため、常識にとらわれず、自由な発想で造ったワインを客に振舞っていました。サロンが造りだすワインによって「ブラン・ド・ブラン」というスタイルが市場に認知されたといってもよい記念碑的な存在でもあります。

続きをみる

やがて、パリのレストラン「マキシム」のハウス・シャンパンとなり、上流階級の間に広まった。単一年、単一村、単一品種のブラン・ド・ブランの産みの親となりました。

使用するシャルドネは、ル・メニル・シュル・オジェ村で生産されるものだけで、樹齢50年を越し、生産量の少ない良質のものである。不作の年には生産せず、1921年の出荷開始以来のヴィンテージは40程度である。マロラクティック発酵は行わず、デゴルジュマン時のドザージュも5g/Lと非常に少ない。最低でも8年の瓶熟成をへて市場に出されるサロンのブラン・ド・ブランは、時代を超えて高く評価されています。

20世紀初めに毛皮商として成功を収めたウジェーヌ・エメ・サロンが、自らとその仲間のために唯一無二のシャンパーニュをつくろうと思い立ち、最上のテロワール―コート・デ・ブランのグラン・クリュのなかでもル・メニル=シュル=オジェに特化―に、モノ・セパージュ―シャルドネー種だけ―、そして優良年のみに生産、さらに熟成には10年をかけるという、謂わば究極のシャンパーニュづくりを目指しました。
このようなコンセプトのもと1911年のミレジメを生み出し、これがサロンの原型となりましたが、以来今日までの1世紀の間、わずか30強のミレジムしかリリースされていません。

ぶどう果はソフトな圧搾により得られる「キュヴェ」と呼ばれる一番絞りの果汁のみを使用しており、イノックスでの低温によるアルコール発酵の後は樽は一切かけず、加えてマロ=ラクティーク・フェルマンタシヨンもおこさず、ワインは瓶内で時を過ごします。

この瓶熟の期間が非常に長いのがサロンの特徴のひとつであり、通常ミレジメ表示をするシャンパーニュの場合、定められている瓶熟期間は3年間ですが、サロンは3倍以上の10年前後の瓶熟をおこなっています―なかには1985年のように13年以上の熟成を経てリリースされたミレジムもあります―。この過程で徐々に酸を和らげ、さらにうまみが醸成されます。

またデゴルジュマンは当然リリース前におこないますが、その際のドザージュは1リットルあたり5グラムと通常のブリュットの3分の1ほどです。

ブラン・ド・ブランというと軽やかですっきりしたタイプのシャンパーニュを思い浮かべますが、サロンは全くといっていいほど異なります。
ソフトな口当たりながら、熟成に由来する風味、テロワールからくるミネラルなどが複雑さを醸し出し、深みとふくよかさに満ちた、まさにサロンならではの世界が広がります。

さらにそれぞれのミレジムの個性が彩りを添え、加えて余韻の長さも尋常ならざるものがあります。そして多くのシャンパーニュはリリースされてすぐを飲み頃としていますが、サロンにこの常識は通用しません。モンラッシェを始めとするブルゴーニュのグラン・クリュと同じようにじっくりと熟成を重ねることができるというよりも、熟成させてこその高いポテンシャルが開花します。

リリースされてから20年以上の瓶熟も可能で、30年、40年と成長するミレジムも見られます。嬉しいことに以上のようなサロンの特徴を踏まえてか、近頃はマグナムの人気も高まっています。

原産地
フランス・シャンパーニュ地方