シャトー・ラグランジュ|日本企業の手によって再生されたテンプル騎士団由来の名門シャトー

シャトー・ラグランジュ|Chateau Lagrange

 日本企業の手によって再生された名門シャトー、ラグランジュは、中世に貴族のラグランジュ・モンテイル家の名に由来します。ブドウ畑は、グリュオー・ラローズに隣接しているので、良好なワインを生み出せるテロワールで、古くからその品質の高さが認められてきていました。1925年にシャトーを引き継いだセンドーヤ家が、1929年の大恐慌と戦争で経済的に没落し、シャトーは荒廃し、低迷期に入ってしまいました。

続きをみる

1960年代、1970年代にかけて、低品質のワインを造っていましたが、サントリーが1983年に買収しました。
1840年に280haあった畑が、買収時には半分の157haしか残っておらず、設備は全て旧式という状態でした。サントリーは、金額を惜しまず、葡萄樹の植え替えなど抜本的な改善を行い、的確な投資を行いました。

鈴田健二ら、4人のワイン造りの鬼才をそろえ、かつてボルドー大学でワイン醸造研究所長を務めていた著名な醸造学者エミール・ペイノー博士に協力を要請します。彼は「現代ボルドーワインの父」と呼ばれる人物で、ブドウ畑の土壌が本来持っていた力を最大限に引き出すことを目標として、改革に取り組みました。

4人の鬼才は、濃厚なワインから優美なスタイルに転じ、ラグランジュの長所を最大に引き出す努力を積み重ねました。畑から醸造設備、城館に至るまで、徹底的な改良を進めた結果、ワインの品質は急激に改善されたのです。

非常に熟した果実を収穫し、厳しい選別によって、ワインはたっぷりとしたタンニンを持ちふくよかでリッチなスタイルに仕上がり、新樽由来の香ばしい風味もラグランジュの個性を造り出します。特に近年、植え替えを行っていたブドウの樹齢が2年を超え、ワインは過去の名声を上回るほどの高評価です。端正で優美というサン・ジュリアンの魅力が見事に表現されており、アペラシオンの指標的存在です。

豆知識

サン・ジュリアンのテンプル騎士団の荘園の一部であったシャトーは、14世紀初めのテンプル騎士団の崩壊によって、ポイヤックとラグランジュの領主達の手に渡ったようです。

シャトー・ラグランジュは、中世に貴族ラグランジュ・モンテイル家の名とともに、広く知られたようです。1631年からは、複数の所有者の手に渡ることとなりました。

1842年にシャトーの所有者になったデュシャテル伯爵はメドックの排水設備を整え、1855年にシャトー・ラグランジュは3級に格付けされました。
1925年にシャトーを引き継いだセンドーヤ家が経済的に没落し、シャトーは荒廃し、低迷期に入ってしまいました。1960年代、1970年代にかけて、荒れたシャトーで低品質のワインを造っておりました。長い間そんな状態が続いたのですが、1983年、日本の飲料業界のトップ企業であるサントリーがシャトーを購入しました。欧米以外の企業に買収許可が下りたのは初めてのことでした。

原産地
フランス・ボルドー・メドック地区サンジュリアン
格付け
メドック3級